■本に出てくるおいしい食べ物 P7


▼即戦力。

向田邦子の手料理 『向田邦子の手料理』(向田和子 講談社編/講談社)

お料理も上手だった方ですから、向田さんのお料理関係の本、記事は結構ありますが、中でもコレ、かなり実用的だと思います。本当に作りたいなら、コレ。本のサイズも料理本サイズ。図版、及びレシピもしっかりしています。イメージそのままにシャキっとした、粋なお惣菜たちがいっぱいです。向田さんのロマンの香りをかぎつつ、今すぐに役に立つお料理本。 ついでに、エッセイの食部分や、向田さんの写真も拝見できるオトクな作り。 ところで、私、鹿児島で「つけあげ」(=さつま揚げ)を食べて、その本当のおいしさに仰天した覚えがあるのですが、向田さんも「つけあげ好き」と知って、ますます好きになりました。スーパーで売っている薩摩揚げは、本当の薩摩揚げではないのです。また取り寄せようかな。
→向田さんと言えばコレも。→コレも。 ※新刊でも流通中。現在定価¥1680。1989年の本なのに流通中。つくづく向田さんの御本は息が長いですね。


▼ファンならずとも。

村上レシピプレミアム 『村上レシピプレミアム』(台所で読む村上春樹の会編/飛鳥新社) ※村上春樹の著作ではありません。

村上ファンの方、ごめんなさい。ワタクシ、村上春樹は、『ノルウェイの森』しか読み上げておりません。カミングアウト。ペコリ。 しかも、『ノルウェイの森』で小林緑が作っただしまき玉子、と言われても何も思い出せないんです、この食いしん坊が! ひゃー、そんなことあるんですね。 しかし、その程度の人が読んでも、興味津々になれる本です。 前作『村上レシピ』は村上春樹小説に出てくる料理中心、続く今作は、主に村上エッセイに出てくる料理中心のレシピ集です(小説のものもあります)。 ですから、村上春樹自身が好む味がおのずと見えてくる。 スィンプル、清浄、要するに寿司のようなイメージ(実際寿司も収録されています)。レシピ全てがそんなイメージです。つまり、「ココをこうする」という要点さえ押さえれば、料理としては簡単で、試したくなること、請け合い。 ファンでなくてもこうなんだから、ファンの方が、「これが、村上春樹の大根定食」などとロマンを加味して演出するなら、最高だと思われます。 ※新刊でも流通中。定価¥1260。ウチの在庫は<2000部限定HappyPack>と書かれた7ページの薄冊子が挟まれていますので、殆ど変わらないお値段にしました。が、正直言って、ちょっと詳細不明。御注文の際はよく御検討ください。


▼あの感激が。

チョコレート工場の秘密 『チョコレート工場の秘密 てのり文庫』(ロアルド・ダール 田村隆一訳/評論社)

えーと、すみません。一押しの記事でも書いておりますが書き足りなかったので(笑)、ここでも。 マンガの発売日に胸躍らせながら、本屋に行ったあの気持ちは二度と帰らない。それが私のノスタルジーの根幹です。あんなに楽しみに何かを待つことはもう二度とないと思います。それと同じく、あの夏の日にアイスバーに当たりが出た時の喜びも多分二度と味わえないと思うんですよ。今でも嬉しいですけど、違うの! ¥105出せばもう1本買える今では、もう喜びの価値がまったく違う。そんなに食べられるかなぁ、なんて冷静に思っちゃうし。子供時代って重要です。誰にも等しく、そんな楽しみにあふれた子供時代があるといいなぁと思いますね。 しかし、この物語のチャーリー少年のウチは貧乏で、その日の食べ物にも困っています。チョコを買えるのは1年に1枚。ウィリー・ワンカさんの秘密のチョコ工場に招待される金色の招待券が欲しいけど、きっと無理。当たりの入ってるチョコは5個だけ。何十万枚もチョコを買った子供だけに当たりが出てるんだもの。それでも期待せずにはいられない。曽祖父母、祖父母、父母が「ガッカリしちゃダメだよ」と少年を慰めながら見守る中、少年がチョコを開ける。この前半部がすごくいいんです。ジーン…。 さて、物語がどう転がるのかは読んでのお楽しみですって。 挿絵がコワイです。もうちょっとなんとかならんのか、と(笑)。 また、もしかすると、
この作品も何か影響があって書かれた物語だったのかなぁ、と考えました→コレね。 ※柳瀬尚紀訳は流通中。
→チョコレートつながり


▼逆・有名人格付けチェック?

エリゼ宮の食卓 『エリゼ宮の食卓 その饗宴と美食外交 新潮文庫』(西川恵/新潮社)

エリゼ宮とはフランス大統領官邸(そうだったのか…)。あなたが国賓、または公賓としてエリゼ宮の晩餐会に招待された場合、そのメニューを見るだけで、あなたが「どのランクに格付けされたか」が分かるそうです。 現在、エリゼ宮の饗宴は、前菜、主菜、サラダ、チーズ、デザートの5品、前菜と主菜に合ったワインが1つずつと、シャンパン1種と決まっていて、その材料、ワインの等級から、招待客の格、招待客とホスト(仏大統領)の親密度、込められたメッセージが分かる。まさに美食外交。 誰それの時のメニューの詳細や、エピソードが紹介されています。面白いです。前のブッシュ(パパ)の時は、ミッテラン大統領と仲良しでこうだった。しかし、クリントンの初訪問の時はこうで─という具合。クリントンの時は、全体のランクは2番目。しかもウマイけど格付けされてない無名のワインが1つ混じっていたそうですよ。著者は上品に推測してましたが、私は明らかに「お前がどれほどのものかまだ分かんないね」って意味だと思うなぁ。 エリゼ宮の晩餐の歴史、歴代大統領の好み、エリゼ宮運営の実際等も詳しく記されており、無闇に詳しくなっちゃいました(笑)。 しかし、読めば読むほど、下戸でワインの味が分からないことが、罪に思えてくる1冊です。特級ワインの名前にだけは詳しくなりましたが、味の想像がつきません。しょんぼり。 こんな客は問題外なんでしょうなぁ。
関連項目?→ミニ特集・美味な新潮文庫


▼あなたの猫になりたい。

待つこと、忘れること? 『待つこと、忘れること?』(金井美恵子  金井久美子:絵/平凡社)

♪あなたと逢ったその日から恋の奴隷になりました あなたの膝にからみつく小犬のように~
というわけではありませんが、私は金井家で飼われたいです。居候でもいいけど、そこはきびしく、家事分担させられそうですから、猫で。 ワタクシもよく、「いつもおいしそうなものを食べているね」と言われますが、ここの姉妹にはとうていかないません。ヘッポコです、私なんて。 こちら、金井さんの料理にまつわるエッセイ集。小説の中、映画の中、生活の中、人生の中の食べ物について。じつに金井的な語られ方で、ニヤリニヤリしつつ読める。読ませる。どれもこれも名編なのですが、ま、例えば「簡単節約料理」なんて、「19万3000円のカシミアセーターを大事に着たい」という、ファッション雑誌の記事についての言から始まって、吉田健一の御令嬢のレシピに及び、岡本かの子で終わっています。 読書の楽しみと食いしん坊の楽しみ、両方をいっぺんに満喫できます。

挿画はもちろん、姉の金井久美子さん。しかもこの本ね、かなり立派で、このようなカラー挿絵がふんだんです。定価¥1680に押さえた平凡社さん、エライですね。 愛猫トラーも頻出するので、猫好きにも。
関連項目→猫つながり


▼デート参考書に。

男と女のレストラン 『男と女のレストラン 講談社文庫』(玉村豊男/講談社)

しゃらくさいタイトルなので(失礼な)、どうかと思ったんですけど、感心しました。 1992年文庫化、初出は1988年単行本。 ん~、そうか。1988年の時点で、イタメシもしっかり押さえておられる。当たり前かなぁ。いや、私的にはあの頃はフレンチフレンチ、言うてた気がするもん、うん。 とにかく真っ当な本です。アンナ時やコンナ時、オナゴを連れて行くにはどんな店で、何を頼むのがスジか。小説仕立てで解説してくれます。なんだかナンパですが、言ってることは手堅いです。今まで、食事をおごってくれたありがたい殿方を何人もめった斬りにしてきた(やや誇張)私が言うのだから間違いありません。「異性と食事をする時のあるべき姿、とるべき態度」、自分がいかに気持ちよく食事できる人物であるかを喧伝するノウハウがココにあります。とは言うものの、これもグルマンのサガか、じつは異性より美食に比重が置かれていますので、単なるグルメな方にも。何料理の店では何を食べてみるべきなのか、参考になります。

さらに、この著者が実際、指南してくれるパーティ料理のレシピはこちら。『玉村豊男のパーティー・クッキング 講談社文庫』。 出てくるポトフーのレシピが辻静雄の本に出て来た基本を守っているので、ますます感心。 上記、『男と女のレストラン』で薀蓄を傾けていたキャビア&ブリニの食べ方や、飲茶の肝も紹介してるし、セットで持つのも楽しいかと。
関連して→ミニ特集・美味な新潮文庫


▼前言撤回。

森瑶子の料理手帖 「森瑶子の料理手帖」(森瑶子/講談社)

えっとー、まず、以前に 森瑶子さんの料理には、懐疑的と言ってしまったことを撤回します。てっかーい!
お気に入りのヨロン島での野趣あふるるレシピ、「おいしい」イギリス料理のレシピ、男友達から森さんへ捧げられたレシピ、逆に男達に捧げるレシピ、そして得意料理の数々。などなど。 彼女の身の回りの料理のすべてと言いますか、彼女の人生にまつわる料理のすべてと言いますか、森さんの人生を彩った食にいろんな角度からアプローチ。ファンの方はめちゃめちゃ楽しいはずです。 アポリネールにはレバーパテ、クラーク・ゲーブルには生牡蠣のカクテルを捧げよう、と、ちょっとベタな感じ(失礼)の洒落者ぶりを披露しながらも、読者を辟易させないで、「やるねぇ」と思わせる知性があるんですよね。だから、本にも実用性がございます。さすがです。
→ミニ特集・お料理絵本


▼それが食べたいNo.1?

ぐりとぐら 「ぐりとぐら こどものとも傑作集」(中川李枝子:文 大村百合子:絵/福音館書店)

ちびくろサンボのホットケーキに並びますよね。あれとこれ、どっちが1位かなぁ? うー。 先日、なんとウチのママが、ぐりとぐらのカステラを知らないことが判明したので、説明を試みました。 「ねずみのぐりとぐらが、卵を拾って、カステラを作って、森の動物さんみんなで食べる話だよ」…。 我ながら、ん?と思いましたが、でもそれだけなんですよね(笑)。それだけの話が、伝説のベストセラーです。しかし、何度読んでもウマそう。たまらんです。 巨大なおなべ(フライパン)で焼き上がった黄色いカステラ~。もうね、もうね、キャーッ(悲鳴)って感じ。エーン。ひとくちでいいですから~。
もちろん今現在も流通中の絵本です。そして、ここが感心のしどころなんですけど、定価¥780ですよ。エライなぁ。福音館書店。 そして、このカステラのレシピの載った本も刊行されていますので、興味のある方は新刊本屋さんで! ウチの在庫にはないんです、ごめん。
→卵つながり


▼ちょっとしたショックもあります。

「赤毛のアン」のお料理BOOK 「赤毛のアン」のお料理BOOK(テリー神川:料理・文 吉村和敏:撮影/講談社)

想像の余地がないくらい、ビジョンが鮮明な本です。 アンの物語に出てくるお料理レシピをバンバン、カラー写真で収録しているのですが、名前だけ聞いてワクワクしていた謎のお菓子が、目前にはっきり示されます。 えぇっ、これがしょうが入りパン? えぇっ、これがジャム入りプディング? えぇっ、これがプラムプディング? ファッジとタフィは「甘すぎて食べるのに勇気が要る」って…。そうか…(ガックシ)。 原典(や当時主流のレシピ)に忠実であろうとする気合いが相当入ってるんです。妄想のお菓子が現実になるので、好奇心は満たされるし、まじまじ見ちゃうし、満足もするんですけど、想像と違ってて驚くこともしばしば。 でもね、やっぱりクッションの下敷きになったチョコレートケーキは食べたいし、エンジェルケーキやマフィンはおいしそう。それに、アラン牧師のおもてなしメニューとか、ミス・ラベンダーのお茶会のメニューとか、メニューまるごと再現してくれてるのは、嬉しい! 素直にウマそう! 私も再現したいという野望を抱きました。 ※最近、復刊した模様(2008年秋現在)。
→ミニ特集・お料理絵本


▼お近づきになりたい!

雑誌 太陽'94/10月号 特集・作家の食卓 『雑誌 太陽'94/10月号 特集・作家の食卓』(平凡社)

ぐはぁ~。ちょっと力が抜けますよ。 ウマそうで。
あの方々のコダワリの食卓がそこに! ん~、私はね、檀一雄の家に行きたいかなぁ。で、ごちそうされたい。 でも意外に食傾向が似ているのは永井荷風かな。パラノイア的食欲です。荷風先生に色目を使ってみたいもんです。 多分、吉田健一の後をついてまわって、同じものを食べるのも至福かと。吉田健一さんは、以前、テレビ番組でも紹介されていた、「ランチョン」のビーフパイで登場。しっかり覚えてる自分に拍手。 さらに池波正太郎。これはもう常に間違いないって感じですね。お友達になりたかった(笑)。 円地文子とは恐らく気が合わないと思いました。森瑶子さんもねぇ、やっぱりちょっとイギリス食には懐疑的なんです、私。 などと、相当無駄なことを考えさせられる1冊です。楽しい…。
→雑誌太陽の在庫を検索する


▼違うけど!

ジャムねこさん 『ジャムねこさん』(※『貝になった子ども 角川文庫』の収録作)(松谷みよ子/角川文庫)

シャム猫さんじゃないですよ。ジャムねこさんです。真っ白でふくふくしてる猫さんの、背中の模様があんず色。パンにジャムがかかってるみたい。お前は今にジャムパンになってしまうよ、と言われて凹んでる子猫ちゃんです。 ニャー、おいしそう(な描写)だ!と思ったのは、私だけですかね? 童話に出てくるレトリックって、本当に、おいしそうなものが多いんですもの。食いしん坊としては猫だって美味そうに見えるってもんです。本当にすみません。 黒猫のプーとジャムねこさんと、モモちゃんがちらりと出てきます。あかねちゃんとモモちゃんのお話の超番外編かな? その他、名作と言われる表題作や「とかげのぼうや」「火星のりんご」などキラリンと優しく輝く短編を全部で17編収録しています。
→猫つながり


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