■なんでもランキング P2


▼史上最高のあらすじランキング

あらすじに弱いんです。多少大げさかなとは思っても、気になってしまう。だまされてしまう。今世紀最大のトリック、と言われれば読まないわけには行かないじゃない? 仰々しく謳われる新機軸はミステリに多いので必然的にミステリが多くなっちゃうけど、そこはご愛敬。史上最高のあらすじの本ランキングはこれ。


▼たまらんです。

魔術師 「魔術師 上・下 河出文庫」(ジョン・ファウルズ/河出書房新社)

文庫版裏表紙惹句がね、「面白い本は往々にして浅薄だし、思索の糧を与えてくれる本はとかく読みづらい。『魔術師』はその点、第一級のミステリー並に面白く、かつ芳醇な思索の糧に満ちている。 稀有な小説の一つである。」ぐぉ、読みたい。心臓わしづかみ、紹介文の名作。
→魔術師つながり


▼ビッグネーム。

雨の午後の降霊術 「雨の午後の降霊術 シリーズ百年の物語2」(マーク・マクシェーン/トパーズプレス)

「日本でも雑誌『宝石』誌上で植草甚一氏が絶讃。ミステリ・ファンの間で長らく翻訳が待たれていた名作である」 (著者紹介より) ビッグネームを引き合いに出して、しかもファンが待っていたと言う。そりゃすごいに違いない。アノ人が褒めてたアレというのは、いつの世も魅力的です。
※創元推理文庫で『雨の午後の降霊会』として刊行中。
→雨つながり

→【シリーズ百年の物語】には気になる作品紹介がたくさんあります。
「狩人の夜」 大不況時代のオハイオ川流域。父を亡くした幼い兄妹に、右手に「愛」、左手に「憎悪」の刺青をしたあいつが迫る! ページを繰るごとに高まる恐怖。格調の高い文体。 一読忘れ難い感銘を与えられる小説である。
「魔女の館」 ふとした偶然から同僚の大学教授の不正を知ったパットは、追跡劇を演じるうちに瀕死の重傷を追って魔女の館に閉じこめられてしまう。 サスペンスの女王がくりひろげる白昼夢のような世界。
「インターステラ・ピッグ」 海辺の別荘地を訪れた謎の3人組。彼らは、「インターステラ・ピッグ」というゲームに熱中していたが、それは壮大なスケールのサバイバルゲームだった。 彼らの真の目的は? ヴァーチャル感覚のSF小説。


▼読むとイマイチ…。

消された時間 「消された時間」(ビル・S・バリンジャー/早川書房)

文庫版あらすじ「…(前略)…しかし私は憶えていない。完全に記憶を失っていたのだ! 私は記憶から消された時間を取り戻そうとする。だが、手がかりは千ドル紙幣一枚だけ- ミステリ作家中屈指の技巧派が放つ、類い稀な意外性に満ちた傑作」。どんでん返しは万人の好むところでは? ミステリーを読んで、胸のすくようなどんでん返しに出会いたい!と常日頃熱望している者にとっては「類い稀な 意外性に満ちた傑作」はどうしたって見過ごせないんです。だから、もちろん↓こんなのも要チェック。
→記憶つながり


▼さりげないけど気になります。

証拠が問題 「証拠が問題」(ジェームズ・アンダースン/東京創元社)

文庫版あらすじ「…(前略)多彩な作風を誇る技巧派の雄が意外な真相を仕掛けた最新作。」
即、買いです。


▼帯もあざといです。

黒い蘭の追憶 「黒い蘭の追憶」(カーリーン・トンプスン/早川書房)

ポケミス版あらすじ「…(前略) 息詰まるようなサスペンスと意外な展開で全米書評子から絶賛をあびた大型新人のデビュー作、ついに登場。」
ありがちではあるけれど、読まないわけにはいいかないでしょ? と悩みながら、帯を見れば、「警告 サスペンス小説の愛読者は読みのがすな!」って書いてあるんだもん。あ、やっぱし?ってなもんです。


▼ありがちでも、こう言われると。

交換殺人 「交換殺人」(フレドリック・ブラウン/東京創元社)

文庫版あらすじは、「完全犯罪の条件とはなんだろう? それは動機のない殺人だ…(中略)…ふたりの人間が、たがいに殺したい相手を交換し合って殺人をする。 完璧なアリバイさえ用意しておけば、これすなわち完全犯罪ではないか、と。鬼才ブラウンが交換殺人の果てに用意した意表をつく逆転劇は…。」 最近では、B級推理ドラマにも頻出するありふれたトリックである交換殺人も、こう言われると、どう意表をつくのか読みたくなるんですよねぇ、不思議と。


▼驚嘆。必読。傑作。

水平線の男 「水平線の男 創元推理文庫」(ヘレン・ユースティス/東京創元新社)

文庫版あらすじ「…(前略)犯人捜しの謎とき小説としては独創的なトリックをもって批評家を驚嘆させ、心理スリラーとしてはその精神分析的手法で読者を感嘆させた十年に一度の路標的名作。本書を抜きにしては現代推理小説の歩みを語れないほど重要な地位を占める必読の傑作である。」必読で、しかも傑作ですから。読まねばなるまい、と思う私はかなり単純?


▼おバカ?

バビロン空中庭園の殺人 「バビロン空中庭園の殺人」(小森健太朗/祥伝社)

文庫版あらすじ「…(前略)しかも、犯人は屋上から忽然と消失、まるでバビロンの王女のように…。二千年の時空を超えた『人間消失』のトリックとは?」 うーん。二千年の時空を超えましたか。そりゃ読まなくちゃね。単純です。しかも作者は、「バカミステリの傑作」と噂される「ローウェル城の密室」を書いた人。 なんかすごいことがあるんじゃないだろうか。よし、読まなくちゃ。(※その後、読了。まったくオススメできません)
→時を越える事件つながり


▼おまけ…あらすじがない本

料理人 『料理人 ハヤカワ文庫NV』(ハリー・クレッシング/早川書房)

読者に先入観を与えたくないということで、あらすじや、著者の経歴などの情報が一切ナシで発行された話※。 原書の発行時からそうなので、日本でも同じ状態で発行されましたのかな? おもしろい! おすすめ! ※どういう経緯かわかりませんが、ハヤカワ文庫ではかなり重版後にカバーにあらすじが印刷されるようになったようです。 ちょっと残念。
→成り上がりつながり

▼そういえば…映画「ブロークン・アロー」のキャッチコピーは『核弾頭消失』。
ジョン・トラボルタ主演の映画。キャッチコピーは核弾頭消失?! こんなんで見たくなる私も私かな?


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▼怖い話ランキング

清水義範が「子供に怖い話をしてくれとせがまれるのだが、職業柄、話のつじつまを合わせてしまうので子供が怖がってくれないのだ」というようなことを書いていました。彼によると怪談は筋の通らないところが怖い、のだそうです。「行きと帰りでは段数の違う階段」とかね。なぜという説明も納得のいく理由もないのに(ないから?)怖いのだ、と。 その伝でいっても、小説で人を怖がらせるのはとても大変だと思うのですが(つじつまの合わない小説って書くのは勇気がいりますもんね*)、世の中にはゾクゾクする本というものが確かに存在します。というわけで、読んでいて ぞーっとする話ベスト5。
*すべての事件が解決したかに見えた後に、おまけのように付けられる「まだ解決してないよー」的なエピローグはたいていスジが通ってなくて怖い。好きかどうかはともかくとして。


▼眠れない。

人体模型の夜 「人体模型の夜 集英社文庫」(中島らも/集英社)

すべてが人体(のパーツ)に関する短編集。中でも花冷えならぬ「鼻冷え」が怖い。調香師の女主人公の恐怖体験。読後のダメージ大。 フェティッシュな面白味もあり、おすすめの1冊だけど、その怖さゆえに「鼻冷え」はあんまり読み返したくない。


▼不条理感に。

六番目の小夜子 「六番目の小夜子」(恩田陸/新潮社)

最近随分多産な恩田陸さんですが、一番こわかったのはやっぱりデビュー作たる「六番目の小夜子」でしょうか。 あらすじが、すでに不気味って言うか謎ですもん。なんだか不条理でしょう、謎と事件が。 あらすじの魔力にかかりやすい私としては、もうそれが一体なんのことでどうなってるのか、知りたくてたまりませんでした。 (読後、数年を経た今、それがどう解決したのか記憶にないのですが…。)

六番目の小夜子は、後にハードカバーで大幅改稿して出版されました。(それがさらに文庫化。)怪談的な、納得のいかない原始的な怖さを体感させてくれる作家として要注目。
→何番目つながり


▼コワイところがあるんです。

虚無への供物 「虚無への供物」(中井英夫/講談社)

この名作を挙げてどこが怖いのかと言いますと、ミステリーの金字塔らしく、作中、登場人物たちがしきりに推理合戦を繰り広げる、その中の一人の推理がひどく怖いんです。 タンスネタなんですけど、怖い。(タンスネタって何か、ネタバレになるといけないので伏せておきます。)あの中井英夫の贅をつくしたミステリー、もしも未読のかたは是非。中井英夫の名作は他に数々あれど、他の人が書いたものでは、これに匹敵する長篇ミステリーを未だ見たことがないです。あぁ中井英夫は偉かった。


▼コワイところがあるんですってば。

sold out 「図南の翼」(小野不由美/講談社)

十二国記の1冊。作中、ヒロインが草原で化け物に遭遇するところ。ここが怖い。 ビクーッとしちゃう映画的1シーンでした。


▼もうイヤーッ。

sold out 「リング」(鈴木光司/角川書店)

貞子であまりにも有名になっちゃったホラー。原作では何が一番気になるかと言えば、【ビデオを見たら1週間以内に死ぬ】、この理由でしょう。主人公は見てしまう。家族も見てしまう。どうやったら死なずに済むのか。この謎解きが面白く、ついでに怖い。謎の答えに至る経緯や解答を得たときの衝撃度など、物語としての整合性も、絶対原作の方がよくできてると思います。


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▼完璧な短篇ランキング

長篇小説で完璧というのは難しい。至難の技でしょう。だれちゃったり余分だったり、あれが勿体無かっただの画龍点睛を欠くだの、たいていはケチをつけられる。でも、短篇ならありかも。美しく仕上がった短篇を読むと胸がすっとしますよね。完璧な短篇ベスト4はこれ。いつまでも忘れられない、というのが絶対条件です。


▼たのしい完璧さ。

9マイルの歩行 「9マイルの歩行」(『安楽椅子探偵傑作選』収録、ハリー・ケメルマン/講談社)

安楽椅子探偵もの、好きじゃないですか? しかもこの話は格別で、話し相手が遊び半分で適当に言った十一文節の言葉『よほどのことがなければ、九マイルの道なんて歩けるものじゃあないよ、それも、雨の中を』を推理しちゃうって寸法。 第一の推理、話者はいささか閉口してる。第二の推理、雨は予想外だった。…そうやって続けるうちになんだかおかしなことになってくるわけ。忘れられない1篇。(「九マイルは遠すぎる」としてハヤカワ文庫でも出ています。)
→安楽椅子探偵つながり


▼大好きです。

三月革命 「三月革命」(川原泉/「甲子園の空に笑え」収録/白泉社)

少女マンガ。仁礼家の姉弟はご近所でも天使のようだと評判で。片方は確かに天使、でも片方は…。 すべての台詞が名台詞。マジで暗誦できそう。いや、できるね。世に隠れない名作。 私はいつも冷静になるためのおまじないを唱えてるし、いつかは『そして熱海に行くのよ、わたしたち』って言いたいのよ。
→姉弟つながり


▼ちょっとしたミステリって言ってもいいと思う。

シンシア叔母さんのペルシャ猫 「シンシア叔母さんのペルシャ猫」(『アンをめぐる人々』収録、モンゴメリ/新潮社)

『アンをめぐる人々』は『赤毛のアン』をめぐる人々の短篇集。密かなる大河小説・赤毛のアンでたくさんの登場人物を自在に操ったモンゴメリの手腕を堪能できます。 中でもこの『シンシア叔母さんの…』は、推理小説的楽しみと少女小説の楽しみが合体した佳作。微笑ましい推理小説ですよ。

うるさいシンシア叔母さんの留守中、預かってあげたペルシャ猫がいなくなっちゃった! どうしようもなくて新聞に広告を出すのですが…。
→猫つながり
→赤毛つながり


▼忘れられなくなる話。

おかしなことを聞くね 「おかしなことを聞くね」(『おかしなことを聞くね』収録、ローレンス・ブロック/早川書房)

古着屋に売られてるジーンズは、穿き馴らされているけど穿き捨てられたものではない。ちょうど穿き心地が良くなってきたものばかり。 じゃ、穿き馴れたジーンズをわざわざ古着屋に売るのは、いったいどんなやつなのか? さてどんなヤツだと思います? もし、あなたがヒッチハイクをすることがあったら、運転手さんに話してあげると間違いなくウケるでしょう。


▼たまらんです。

無月物語 「無月物語」(久生十蘭/社会思想社)

久生十蘭の短篇からどれかを選ばないわけにはいかないと思って適当に選びましたが、いや、一つなんて選べませんね。 彼の作り出す謎はいっつも、なんですとーッ? と耳目を集める魅力たっぷりで、幕切れは鮮やか。というわけで、この短篇集はまるごとおすすめ。


▼ふむふむ。

偶然の審判 「偶然の審判」(アントニー・バークリー)(『世界短編傑作集3』の収録作、江戸川乱歩編/東京創元社)

チョコレートの見本がクラブの一員に届けられたのを、もらって食べたうちの一人が死ぬ。一見単純な事件の隠された真相とは?
この作品の 長編版が、『毒入りチョコレート事件 創元推理文庫』(アントニー・バークリー/創元推理文庫)。
→チョコレートつながり


▼最後が。

妖魔の森の家 『妖魔の森の家』(※『カー短編集2 創元推理文庫』の収録作)(ディクスン・カー/東京創元社)

カーさんとはあまり好みが合いませんでした。今まで。彼の怪奇趣味が、私に「なんじゃい!」という気を起こさせるのです(笑)。「だから何?」と。 古典なので、長編でもイライラすることが多かったのです(ごめん)。でもこの短編「妖魔の森の家」、良いです。「彼の全作品を通じての白眉ともいうべき傑作中の傑作である。すなわち本編においては発端の謎と解決の意外な合理性がみごとなバランスを示し、しかも作者の怪奇趣味がこれに適切ないろどりを添えている」と、紹介文に書かれている通り。まさにその通り! 完璧。不思議さと怖さと論理のベストバランス。特に最後の2行ね。どれでも一緒の気もするけど、やっぱりそうよね。その気持ち分かる。かなりゾーッとできます。

※これは1~3まであるカー短編集の2です。その後刊行のカー短編全集は1~6まであるらしく、流通中。その2巻目と収録作が同じではないかと思います、多分。御確認下さい。


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