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埋もれています。
『建築探偵術入門 文春文庫ビジュアル版』(東京建築探偵団/文藝春秋)

東京横浜の西洋館230を紹介しています。と言っても、ピカピカの芸能人の豪邸とかじゃないですから。国会議事堂も入ってるけど、東京拘置所も入ってる。ニコライ堂も入ってるけど、なんとか社の社宅や寮も入ってる。街に埋もれた西洋館を拾い上げるのが主旨なのです。勿論、写真豊富。
鳥好きの私としては、鳥がモチーフに使われた旧小笠原伯爵邸のかわいすぎる壁面や、丸石ビルのロマネスク様式の柱のフクロウの彫刻に目がクギヅケ。こんな家に住みたいよー。
合間合間に配されてるコラムもイイんですよ。「マンホール」に注目したり、「看板建築」なるものを教えてくれたり。
もともと、薄暗い洋館とかをじっとりした目つきで眺めて妄想していたタチなので、こういう本は捨て置けません。東京建築探偵団という同好の士が集まって作ったようですが、私も心は同志です。草葉の影(?)から応援しています。
1986年の版なので、その後、なくなった建物もありそうですね。

YMOとタイタニックの関係。
『タイタニック伝説 廣済堂文庫』(平川陽一/廣済堂出版)

これって有名なネタなんですね。またしても存じませんでした。私って、もの知らずー。

タイタニック伝説のあれこれをとりあげた本ですが、私が注目したのは、やはり沈んだ財宝の話。あの人がアレを持って乗船していたハズ、というのは興味深いので、もっと追求してほしかったな。本好きにとっては、表紙にルビーを象嵌した「ルバイヤート」も沈んだって言われると「おぉ」って感じです。
そして、生命の危機に際して人々のとった行動というのも気になるトピック。中に一人、勇敢にボートを漕ぎ続け、後には冷静な記録を残した日本人がいたと。それがYMOの細野晴臣さんの祖父、細野正文さんだったそうです。でも長い間、ムリヤリボートに乗り込んだとか、誤解されていたそうでお気の毒な話。彼の残した文章も引用されていて一読の価値有り。
映画タイタニックが、ヒットしないだろうと予想されていたという話には納得でした。曰く「長い、暗い、古い」話はヒットしにくいから、ですって。なるほどなぁ。
気になるトピックは全部押さえていますが、どれもこれもサワリなので、タイタニックの本を他に読みたくなります。

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大岡昇平のゴルフの腕前(と辰野隆)
『アマチュアゴルフ 潮文庫』
(大岡昇平/潮出版社)

副題は「遅くなってからゴルフをはじめた人に捧ぐ」。大岡昇平、相当のゴルフ好きなんですね。知らなかったっす。(水谷準なら知ってたんですけど。)私は全然ゴルフなんてしないので、よくわかりませんが、小野不由美や大原まり子がゲームについて語ってる本を連想しました。ゴルフをやる人ならきっと、「そうそうそうなんだよな!」と思うんでしょうなー。

ところで、そんなゴルフ知らずの私の失笑ポイントは、序章「机上の空論」。机上の空論て、あなたね。第一章「まず球を打て」って章題も笑えます。(内容は大真面目。)笑えませんか? それから、「著者によせて」と序文を書いてる辰野隆に苦笑。辰野隆、嫌いなので(笑)。なぜキライなのかと言うと、話せば長いことながら、森茉莉のエッセイに出てくる彼が非常に感じ悪いから。これは森茉莉好き人には有名な逸話ですが、久しぶりに彼の名前を見て考えましたよ。仏文学者としての彼、感じ悪くて偉そうな人としての彼、どっちが有名なのかなぁ?(と、なぜか文壇ゴシップで終わるのでした。)

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与謝野晶子とボイラー。
『交際を考える キリンライフライブラリー』(与謝野道子/麒麟麦酒)

与謝野晶子と鉄幹の次男である外交官に嫁いだ与謝野道子さん。彼女の交際(つきあいかた)に関するエッセイです。
与謝野晶子のこぼれ話がたっぷり。さすがにいいお姑さんです。どんな失敗をしてもおだやかーな晶子像に感心することしきり。ところで、晶子は風呂場のボイラーがこわれると鉄幹が怒るので、そういうときはそうとは知らせずに、いつも夫婦で旅行に出たんですって。その間に修繕させておくんだって。
晶子のグルメぶりや何気なく出てくる名前が文学界のビッグネームってところも楽しいです。
同著者の『どっきり花嫁の記』も面白いけど、企業モノ好きな私としては麒麟麦酒発行のこれ、おすすめです。

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ポスト・イットのヒミツ。
 
『間違いを活かす発想法』(シャーロット・F・ジョーンズ/晶文社)

おもしろいです。
よくあるビジネス書とは違うんです。
役に立つ絵本のような味わいかなぁ。読み始めると止まらなくなりますよ。気になって気になって。
ポスト・イット誕生秘話とかね。ほんとは、超強力接着剤を開発するつもりだったんですって。それなのに出来上がったのは超弱力だった、と。でもある日、本に挟んであった栞が落ちてしまい…、彼はそこでハッとするんです。
その他、X線、スコッチガードからコカ・コーラ、豚の貯金箱まで。小ネタには持って来いの気になる小話満載です。

当選してないけどさー。
 
『宝くじに当選したら読む本』
(高井次郎/三才ブックス)

意外と知られていない3億円当選後のあれこれ。もらう編・まなぶ編・ふやす編・つかう編の4つで詳しく解説しています。
売れ残った券の中に高額当選券があったら。この問いに対する答えがコロンブスの卵的にちょっと驚きでした。当選金はプールされていない。売り上げから供出される。だから、売れ残った券に当選という概念はナイ、んだって。ふーん。
あと、肝心の何を買うかって話で、「売ってるなら愛を買う」っていう4コママンガ挿絵にウケました。私も買う(笑)。著名人へのアンケートで、西村知美さんが「広いマンガ喫茶1軒」って答えてるのに微笑。

→役に立つマニュアル本つながり
→お金つながり(工事中)

クレヨン王国は日常の中に。
『クレヨン王国ファンタジーポエム』(福永令三/講談社)

子どもはもちろん大人も愉しめる大人気ファンタジーのクレヨン王国シリーズ。
少なくとも私のまわりには、クレヨン王国はナイ、と思っていたんですが(当たり前ですか?)、あるのかもしれません。この小型本には、
「取材フォト&エッセイ」という副題が付いているんですが、その写真がね、ごく普通の風景なんです。これならきっと、クレヨン王国はウチにもある。ただ、私の心の中にナイだけなんだ(笑)!
ファンタジーって、それを思う場所にあるんだよなーとしみじみした1冊。創作裏話としても読めるのでファンの方、必携でしょう。60p、小型。

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→ミニ特集・クレヨン王国

三つ子の魂はやっぱり百まで。 
『世界の服飾デザイナー20人』
(田中千代/源流社)

錚々たる顔ぶれの20人との交流を語ります。
ディオール、ジバンシー、クレージュ、マリー・クワント…。楽しいエピソードや作品の写真など、興味の尽きない1冊。
中でもピエール・カルダンの幼少時の話には、ちょっと感じ入りました。あのね、彼は8歳の頃、近所の少女にあげた人形に着せるドレスを作ったんですって。それで、フレアースカートにするための裁断の仕方なんかを考えたそうです。ほー。私は今でもわかりませんけど。

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その美は芸か、生まれつきか? 
『美少年映画セミナー』
(長沢節/角川書店)

略歴を読んでちょっと瞠目。川久保玲や金子國義までもが長沢節一門とは、存じませんでした。ほーぉ。
まぁそれはともかく、長沢節の語る、映画に出てくる美少年ランキングです。イギリス・ベスト13、ヨーロッパ・ベスト10、アメリカ・ベスト13っていうランク付けも具体的でいーじゃありませんか。私だって美しい少年を見るとチェックを入れるクチですが、ヨーロッパ・ベスト1のアドリアン・ディラン、知りませんがな。他にも名も知らぬ美少年がかなりいてびっくり。
さて、長沢節さんに、
芸か、生まれつきか?と言われていたのは、誰でしょう? ふふっ。これはメジャーな人です。
著者の映画美少年イラスト(似てる)や、映画の採点もあって、楽しくお買得な1冊。

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グッチを発見した人。 
『舶来屋一代』
(上前淳一郎/文芸春秋)

グッチは元から存在したけれど、日本人の商人に発見された決定的瞬間があったわけです。あたかもアメリカ大陸がコロンブスに発見されたように、ですね。

高級舶来品専門店・銀座「サンモトヤマ」の店主・茂登山長市郎氏の人生を、キラリと光るエピソードをまじえて語る本。「貴社の製品を日本で売りたい」という氏の申し出に、優しく応えてくれたフェラガモの女社長。陽気だけどすげなかったグッチ、ただ冷たかったエルメス。(いかにもですよね。)でも
ある日、グッチが振り向いてくれた! その辺りの裏話がぐっと心をつかみます。
何が偉いって当時日本では無名のブランドを発見して惚れ込んだ、そのことが偉いですよね。

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