迷子になったらまずHOMEへ

■時計つながり
時計のコレクターって、女性より、男性の方に多いですよね。なんででしょ?
関連項目
→メンズ・ライフ

▼ほしい? ほしくない?

「恋のお守り 旺文社文庫」
(ウォルター・デ・ラ・メア 橋本槇矩訳 カバー絵:東逸子/旺文社)


詩人にして小説家、ウォルター・デ・ラ・メアの短編集。
ちょっと悲しくて、忘れられない童話のような、
詩的で繊細な小説世界は彼独特のものです。

表題作「恋のお守り」には、不思議な時計が出てきます。
骨董屋のおじいさんが夢中になった古い時計。
それには、針が1本しかなくて、時刻はわかりません。
それを手にした途端、少年の心は、密かに思っていたあの娘に告白したい
気持ちでいっぱいになりますが…。
→骨董つながり

▼ちょーコワかった。

「おおかみと七ひきの子やぎ─こどものための世界名作童話─」
(矢川澄子訳 建石修志絵/集英社)

苦手な童話でした。どうしたって最後のかわいいチビヤギさんに
感情移入しちゃうでしょう。それでもう時計の中で
ドッキドキですよ。ドッキドキ。
この手の恐怖の原点かもしれないですね。

ところで、この本は
中井英夫の作品挿画で有名な建石修志さんが絵を担当。
やぎさん達はともかく、収録作の「ラプンツェル」も彼の挿画でして、
妙に耽美的です。ラプンツェルも怪我した王子も美しい…。
→閉所つながり

▼完璧。

『星の時計のLiddell 全3巻』
(内田善美/集英社)

超名作少女マンガです。今改めて読んでもただ感心するばかり。
「幽霊になった男の話をしようと思う だがどこから語りだそう」。そうやって幕を開ける内田善美の世界。
素晴らしい!
完璧!!
自分が漫画家じゃなくてよかったなぁと思いますね。
漫画家だったら、もう約20年も昔にこんな作品ができてしまっていることに衝撃を受けずにはいられませんもの。
<夢の意味>は人類にとって、気になって仕方のない素材のようで、小説でも漫画でも、たくさんの名作を生んでいますが、これはまた、忘れられない1作です。
→詳しくは
→幽霊つながり

▼そそられはするけど。

「死時計─創元推理文庫─」
(ディクスン・カー/東京創元社)

長年の未読本です。どうしても寝ちゃう〜。
古典ミステリーは入り込むまでが大変。
このタイプの初版ですので、カー大好きというファンの方に。

▼こんな時計を。

「T・E・ロレンス」(神坂智子) 

少女漫画です。
アラビアのロレンスの生涯。
非常に印象的な時計の使われ方がありまして、
少女の頃、将来、愛する人にこんな時計を贈りたい
と夢想しました。
→ゲイつながり

▼そそられはするけど。その2

「ジョン・バータインの懐中時計」
(「死の診断─ビアス怪奇短篇集─角川文庫─」の収録作)
(A・ビアス/角川書店)

ビアス怪奇短篇集の収録作です。
懐中時計に偏執的な恐怖を持つ男の話。

この短篇集はテレビのミニドラマで深夜連続、とかでやってくれたら、
思わず見て、毎晩コワイ思いをしそうです。
ドドーンって感じではなく、サワサワーっとコワイ。
「ジョッキー一杯のシロップ」「壁の向こうで」「月あかりの道」など、
題の付け方も秀逸でそそります。
話の運びも年季が入ってますね、うまい。
ドドーンな恐怖になれた身には地味ですが、恐怖のお手本・典型がココにあります。

▼趣味の方に。

「時計 保育社カラーブックス251」
(小田幸子/保育社 )

保育社のカラーブックス。
日時計から水時計、砂時計にはじまって、懐中時計、和時計まで。

あんまり時間は守れないタチで、しかも時計は持たないダメ人間ですが、
こんな時計なら欲しいかも。
好きな方はほんとに大好きなアイテムですよね?
→ミニ特集・メンズ・ライフ

▼科捜研?

「日時計 創元推理文庫」
(クリストファー・ランドン 丸谷才一訳/東京創元社)

誘拐された少女。犯人から1週間おきに送られてくる少女の写真だけが手がかり。
「私立探偵ケントは、手渡された数枚の写真から犯人の所在を割り出すより他になかった」。
日時計の原理を使うわけです。
「科捜研の女」か「鑑識24時」か、とにかく最近火サスで見た気がします。
これが元ネタだったのかな?
稀少気味古典ミステリー。

▼ただ味わう。

「時の主人」
(クリストフ・バタイユ 辻邦生・堀内ゆかり訳/集英社 )

※辻邦生さんのまえがきは、先に読まないほうがいいと思います。堀内ゆかりさんの解説も、先に読まないほうがいいと思います。

文学です。ですから、
展開を語るのではなく、詩と思念を語るために展開しています。
ちょっと、説明が難しいけど、ヘタクソなりに試みます。

時の主人とは、時計職人のことです。
彼は王宮のすべての時計、280あまりの時計を管理しています。
夜、すべての時計の手入れをし、ねじを巻き、時間を合わせます。
(エンターテイメントに馴れた身には、なんとなく魅力的な道具立てですが、楽しいことはまったくありません)
時の主人の役目にある者の生活は完全に現実世界(社会)と乖離し、おかしくなり、去っていきます。新たに招聘された3人目の時の主人は強く、何物にも乱されずにあるようでした。
王国の統治者ゴンザーグ公爵は、3人目の時の主人に関心を抱きます。ゴンザーグ公爵は作中、「現実」を体現する人です。
前任者が「時」の世界の中にのみ生きたのに対し、3人目の彼は、不可視の「時」と現実との仲介役をつとめ、風変わりながらもちゃんと「生きる」のです。が─。

「時」にまつわる文学、それはつまり(著者も語っている通り)、「死」を描く文学です。
綿々と語り継がれてきたテーマを、今一度、新しい道具立てと美しい文章で読みたい方に。

※余談。作中に流れる不穏な空気が『夢宮殿』を思い出させます。
どちらも、時や夢、あいまいになりがちなものをテーマにしているからでしょうか?

▼フリーメイソン。

「腕時計 男のグッズ100シリーズ 光文社文庫」(光文社)

「男のおしゃれを個性豊かに演出する小道具といえば、まず、腕時計である。現代ほど腕時計がバラエティ豊かな時代はかつてなかった。だからこそ巧みに使いこなしたい。美しさと技術を誇るアンティークから機能性あふれるエレクトロニクス時代の時計、遊び心と感性を表現するデザインウオッチまで、男の腕時計100を紹介(カバーより)」

というわけで、100の時計が紹介されています。
一部モノクロですが半分以上はカラー写真なので、見るのも楽しいです。
私が欲しいと思ったのはウオルサムの「フリーメイソン」。
文字盤にはフリーメイソンを象徴するマークが書かれています。

でも本が古いので、どれもこれも古いんだって。愚弟が言ってました。
「ここで最新作と書かれている時計もめっちゃ古い」って。

他に…『悲しみの時計少女』(谷山浩子)