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■アンドロイドつながり
アンドロイドが出てくる本。仄かにカナシイことが多いです。けっこう好きなんですよね。

▼お気に入り。

【イル&クラムジー】シリーズ 徳間書店ソフトカバー (大原まり子/徳間書店)

マッチョマンのイルと美しいアンドロイドのクラムジーのコンビ。実はイルはマッチョでナイーブな詩人で、クラムジーは美しいだけでなく強くて賢い問題児。銀河郵便配達を生業にする二人が巻き込まれる事件の数々はいっつもわくわくさせてくれます。
ロボットものに表現される悲しみは、心ってなに? という哲学的な思索、人類の根元的悲しみにつながると思うのですが、その辺を明るく切り取ってるあたり、まさに佳品です。

シリーズ全5冊。長篇イル&クラムジー物語以外はすべて短編集。ソフトカバー版の装画・挿画/天野喜孝。徳間文庫版のカバー絵も天野喜孝。デュアル文庫の挿絵カバー絵はまったく違います。

関連して→郵便つながり

1、銀河郵便は”愛”を運ぶ

連作短編集。

顔見せの「郵便屋は”愛”を運ぶ」。口が三つあって、ひとりで”カエルの歌”を輪唱するのが趣味の大詩人を救う「帰るの歌が聞こえてくるよ」「ビッグ・マザーたち」は、遊び心たっぷり、ちょっとしたゲームブック風のノリ。クラムジー・タイプのアンドロイドが集結するクラムズ・ファン・フェスティバルでの事件「クラムジーがいっぱい」。など全7編。まずはこれをお試しいただくとよろしいかと。

※注 徳間文庫版アリ。(←)

※最近、デュアル文庫でも出ていますが当店在庫はナシ。

2、イル&クラムジー物語

シリーズ唯一の長編。

とある星で、とあるゲームに参加する羽目になった二人。それもなかなかハードなゲームでして。イルがかわいそうすぎて記憶に残る長編です。
→詳しくは

※注 徳間文庫版アリ。(←)

※最近、デュアル文庫でも出ていますが当店在庫はナシ。

3、銀河郵便は三度ベルを鳴らす

連作短編集。

もの悲しい余韻のある「ドロシーの首」はワタクシのお気に入り。アンドロイドの生と死をへだてるのは記憶である、ラストのクラムジーの説明が印象深いです。「郵便屋は三度ベルを鳴らす」では、イルもクラムジーも別の人と結婚しちゃいますが…。長くつづいているカップルは3種類に分類できる、って展開される説に笑。絶好調の全5編。

※最近、デュアル文庫でも出ていますが当店在庫はナシ。

 
4、やさしく殺して

連作短編集。

最高の味を誇る有機食糧を輸出しているナカラウサ星から料理研究家へ品物を届けるお仕事「クラムジーの味」、二人と飲んだくれていた美女が殺されて、殺人容疑をかけられちゃう表題作「やさしく殺して」。クラムジーにトラウマのあるヒロ警部補がいい味で、次の「なにに誠実を誓うのか?」にも登場。など全5編。

5、未来の恋の物語

連作短編集。

ヒロ刑事のその後、「未来の恋の物語」。イルの人類以外のおともだちの話「人類以外のおともだち」、素敵な題とシーリアスな味わいで心に残る「この世で最も美しい殺り方」。ラストを飾るのは「小さき力を持つもの」。別に終わってないけどね。
しっとりした味わいの全5編。

 

▼泣ける。

「竜の眠る星 全5巻 花とゆめコミックス」
(清水玲子/白泉社)

元々清水玲子さんは過剰なまでの「泣かせ」の作風だと
思うんですが、この「竜の眠る星」はとにかく泣かせる。
何度読み返しても、終盤は泣きながら本を閉じ、わたしは満足するのです。

アンドロイドのエレナとジャックの物語。彼らのシリーズは粒ぞろいです。
全部読みましょうよぅ。
不老不死のアンドロイドの孤独、彼らは二人でそれに堪える。
この構図が少女マンガの一つの型でして。
→龍つながり
→泣ける本ランキング

▼サイボーグだけど。

「サイボーグ009 超銀河伝説 
集英社文庫コバルト・シリーズ(小説)」
(杉山卓著/集英社)

私は、何故か幼少時の009体験がないんです。
なんでだろ? バビル2世とかキャプテン・ハーロックとかは、
真剣に見ていたのに。
友人が言うには、009は幼心にも仄かに哀しさ漂う話だったそうですね。

9人がそれぞれ違う能力を持っている。
<集まる超能力>のバリエーションでしょうか。
→超能力つながり

▼ひどすぎる。

「アンドロイドジュディ ポケットメイツ文庫」
(若桜木虔/文化出版局)

ジュディは感情も機能も人間に近いアンドロイド。
しかし、この物語世界では、まぁ女中さんとして扱われています。
今更のように、アンドロイドの元々の開発理由を考えさせられますよね。

ディックの「アンドロイドは電気羊の〜」ではシリアスに、
大原まり子のクラムジーでは喜劇風に、
知性のあるアンドロイドに労働を強制した結果の<アンドロイドの人権>問題が
描かれますが、これもまさにそのバリエーション。
しかし…ひどすぎる。
物語の始まりから、女として衝撃を受けざるを得ません。
ブルーな気持ちと言うより、憤りを感じます。

アンドロイドに仮託して描くサブテーマが根本的に男性作家と女性作家とでは違う。
これはじっくり考察してみたいところです。
女性の場合は、永遠の生、孤独、ジェンダー、
男性の場合は、愛(男女間の恋愛)、
である場合が非常に多い。気がする。
さらに、女性作家は、男性形のアンドロイドを、
男性作家は女性形のアンドロイドを描くパターンが多いところにも留意したいです。

▼サイボーグだけど。

「サイボーグ009 超銀河伝説 
PART1・2 ポケットメイツ(文庫、小説)」
(若桜木虔/文化出版局)

上の上の杉山卓さんのとどう違うのかは、比べていないのでわかりません。
ファンの方に。
→超能力つながり

▼必読!自動人形。

THE ALLURE(アルーア)蠱惑」
(リチャード・コールダー 浅倉久志訳 巽孝之解説/トレヴィル)

ポスト・サイバーパンクの旗手・リチャード・コールダー。
デビュー作「トクシーヌ」と「モスキート」「リリム」「アルーア」の4編を収録。
巽孝之の解説24頁。
アンドロイドというより、自動人形のエロチックな感じや、
そこから生じる鮮やかな着想、
そんなものにワクワクしちゃう向きには必読のポストサイバーパンクSF。
→ミニ特集・トレヴィル

他に…

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」フィリップ・K・ディック/早川書房)

「アンドロイドはミスティブルーの夢を見るか」川原泉/白泉社)準備中

「OZ」(樹なつみ/白泉社)準備中