迷子になったらまずHOMEへ

■酔っぱらいつながり
店主は下戸でして、飲める人が羨ましいです。でも、飲みすぎはいけませんってば。
関連項目→体に悪い
→煙草つながり

▼酔っぱらいアンソロジー

「酔っぱらい読本」
(吉行淳之介編/講談社)

短篇集編集の名人・吉行淳之介編、と来れば期待は高まります。
1巻を見ても、吉田健一、ネルヴァル、チェーホフ、バーンスタイン、
埴谷雄高、内田百閨c、全20人の精鋭部隊って感じです。
主に「クスッ」っていうおかしみのある作品が多いように思われます。

例えば1巻における私的留意事項。
○チェーホフ「酔いどれとしらふの悪魔の会話」に出てくる
悪魔というのは、いわばまあ、名誉職ですからね」ってセリフ。
○内田百閨uおからでシャムパン」、一見したわたくし、
おからでジャムパン」だと思って焦ったこと。
○吉田健一さんがロンドンの「カフェ・ロワイヤル」を
「カフェ・ローヤル」って書いてること。
→関連して

期待を裏切らない名アンソロジー。
このテンションのまま最終巻まで辿りついてるのはほんとに偉いです。
→1巻(壱)以外の巻も含む在庫を確認
→唸る短篇集ランキング

▼人生は美しい。

「今夜、すべてのバーで」
中島らも/講談社)

店主には何冊か強力推薦の本があって、
くどいほど繰り返しのブックレヴューになっていますが、どうか御容赦ください。
だってこれね、ほんとにオススメなんですよぅ。
世の中に、クスクス笑えてホロホロッと泣ける本が
一体どれだけあるか考えみると、そんなにない。
これは、人生が良きものに思える、ちょっとした傑作です。

 
→泣ける本ランキング
→テスト付きつながり

▼ネタバレ注意。(ネタバレます。読まないでね(笑))

「酒仙」
(南條竹則/新潮社)

南條竹則の
日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。
この著者はウマイもの好きなんだろうな、と思ってたら、受賞後に出した
翻訳は「飲食男女」だったし、やっぱりなぁって思いましたよ。
さて、この「酒仙」、最終決戦では飲酒の詩を詠って対戦するんですけど、
えーっと誰だっけ、「よくできてる有名な酒の詩だけど、作者は下戸」のヤツ
(すみません…手元になくて)を出した側が大幅減点(っつーのか?)されてたのが
印象的でした。下戸の私としては、こういうの読んでも悔しいし、飲める人が羨ましい。
ロッテのチョコ「バッカス」は大好きなんだけどな。
→日本ファンタジーノベル大賞つながり

▼ケンイチ氏(うじ)とか呼びたくなりませんか?

「金沢/酒宴 講談社文芸文庫」
(吉田健一/講談社)

(誰か有名な方の受け売りなのか、有名でない方の受け売りなのか、
そこは失念してしまったのですが、)とにかく誰かの受け売りではありますが、
この吉田健一のうねうねした文体は、
そのまま金沢の町並、川の流れを表しているのだ、と。うーむ、なるほどね。
一度、金沢を訪れたいとお思いの方は、読後に訪れてみてください。
がっかりすること請け合いです(笑)。

「酒宴」の方は、愉快な酒飲み小説。お酒飲みはたまらんでしょうが、
ウマそうな酒の肴がいっぱい出てきて、
食いしん坊にとってもたまらんのです。 
→金沢つながり

▼酒は有害。

「リメイク ハヤカワ文庫SF」
(コニー・ウィリス 大森望訳/早川書房)

未来では、映画は新しく撮る必要はない。俳優もいらない。
映画はもちろん、マリリンやオードリー、ゲーリー・クーパー、
フレッド・アステアら、かつての名優たちも、デジタライズされていて、
いつでも好きにリメイクできるのだから。
好きな女の子の顔を名画の中に貼りつけるのも、それと同じだけ簡単。

また未来では、酒は有害物質として、映画からは消去されています。
主人公トムの仕事は、酒や麻薬を昔の映画から消すこと。
映画を愛する彼にはそれは耐えがたい苦痛で、彼は酒や麻薬におぼれて
気を紛らわせています。

物語はダンサーになりたいアリスがトムの前に現れるあたりから
俄然ロマンスに向かって走り始めます。
とてもイイです。ロマンチック。読後さわやか。一押し!
→タイムトラベルつながり

▼やし酒?

「やし酒飲み」
(エイモス・チュツオーラ/晶文社)

なんかうまそうですね。やし酒。
どんなのかなぁ。

アフリカ文学って、なじみが薄いんですが、
なんかいけそうな予感がします。
だって、まずね、主人公は10歳の時からやし酒を飲むしか能のない男。
彼は、毎日、お抱えのやし酒づくり名人に、べらぼうな量の
やし酒を作らせて飲んで飲んで飲みまくります。
が、ある日、そのやし酒つくり名人は死んでしまう。
主人公は我慢できずに、彼を連れ戻すため「死者の町」へ旅立つ。
のだそうですよ〜。何やらワクワク。

▼くそぅ…

「ボトルの方へ 河出文庫」
(田村隆一/河出書房新社)

ん〜。ちょーっと暴れたいかな(笑)。
下戸としては。
あの、お酒が飲める方はよく分からないと思うのですが、
下戸って、お酒が飲めないだけでなく、お酒の味がわからないのです。
飲むと、ムハッとしたアルコール分だけが鼻を抜け、
まずはそれが強いか弱いか、
甘味や香りと渾然一体となった時には、それが飲みやすいか飲みにくいか、
それだけが酒の判断基準です。
だから、田村さんにどんなに力説されても、1回も食べたことのない南国フルーツみたいな感じで、
想像がつきません。チッ。
第一部はウイスキー、第二部は日本酒。
時々、出てくる食物と、文学ネタだけが私の楽しみ。
読んで悔しい酒紀行、酒エッセイ。稀少傾向かな。