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■殺し屋つながり
スパイと同じくらい殺し屋が好きなわたくし。かっこよければなお良しなのですが、奇しくも…こんな人たちばかりのつながりに…。
関連項目
→変わった職業ランキング

▼必笑。

「ペットスナイパー二階堂達也」
(テリー伊藤/幻冬舎)

ゴルゴ13に憧れて、スナイパーになった主人公・二階堂達也。しかし、東西冷戦も終結した今、暗殺の依頼は激減。競争馬の狙撃を引き受けて以来、ペット専門のペットスナイパーになってしまった。…というお話。わはは。「ショパン・コンクールに入賞したピアニストが銀座のクラブでホステスとオヤジ相手にカラオケの伴奏をするような心境」って言う二階堂達也、ほんとに笑えます。そんな二階堂達也の事件簿全5篇を収録。
軽妙、必笑の1冊。

▼一押し!

「殺し屋から愛をこめて ハヤカワ文庫NV」
(フランク・マコーリフ/早川書房)

メルマガ読者の方へ。
ごめんなさい、そしてありがとうございます。
売り切れました!ウレシー!

この本、めちゃくちゃ面白い本のベスト10に入れてもいいくらいなんですけど、割りと知名度が低いようで残念です。もっと騒がれてもいいと思うんだけどなぁ。
腹をかかえて笑える、スラップスティックな殺し屋モノです。わたしが殊にニヤニヤしながら読んだのは、「ベースボール事件」で、殺し屋オーガスタス・マンドレルが内野手に打撃を与えるために塁に出なくてはならなくなったところ。球を打てるわけがない彼、どうしたと思います?
さてさて、この殺し屋マンドレルさんですが、「レッドウール書簡」というものをコレクションしています。毎回、彼は殺し(?)の報酬としてその書簡を手に入れていき、最終話ではその書簡の謎も解けます。じつに心躍るプロットと言う他ありません。一つ一つの話は読み切りだけれど、全編をつなぐ謎も別にちゃんとある、と。連作短篇集としての魅力をすべて兼ね備えているのです。大推薦!
→手紙つながり
→連作短篇つながり
→野球つながり

▼すきまのあるゴルゴ。

「殺し屋 二見文庫」
(ローレンス・ブロック/二見書房)

さみしそうな殺し屋。
そんなんもありですかね?
あー、レオンがいますよね。
てきぱき仕事はするし、しっかりしてるし、笑うような対象じゃないけど、
なんかねー。

心の隙間がすごくありそうな殺し屋ケラーの連作短編集。
派手さはないけど、ローレンス・ブロックのいぶし銀の魅力です。
殺し屋好きで連作短編好きなら、一度ぜひ。
→連作短篇つながり

▼どうかな?

「逃げる殺し屋 文春文庫」
(トマス・ペリー/文藝春秋)

ふとしたきっかけで、女性捜査官は殺し屋のヒントをつかむ。
殺し屋さんが逃げる。逃げるときの行動が
また彼女の推理に引っかかって近付く。
というわけで、逃げる殺し屋なんですね、まさに。
やや薄味だけど、殺し屋サスペンス好きならいけるかな。

▼うむ。

「殺し屋ダラカン ハヤカワ文庫NV」
(クロード・クロッツ/早川書房)

『ひまつぶし』『パリ吸血鬼』のクロード・クロッツさん、
こんなのも書いてるのか〜。
いや、むしろこれが彼の最高傑作なんですって。
かつて片足を失わせてしまった相棒の少年と
平和に暮らしていたダラカンは、大金での殺しを依頼されます。
よくあるパターンですが、切ないラブロマンスも絡んで、予想外の展開。
傑作に仕上がったそうで、本国フランスでも賞賛されたといいます。
楽しみ〜。でしょー?

▼最後の仕事。

「殺し屋マックスと向う見ず野郎 文春文庫」
(テリー・ホワイト/文藝春秋)

特攻野郎Aチーム、みたいな、かっとばしたタイトルだなぁ。
というのが、私の第一印象でした。
著者は「
真夜中の相棒」のT・ホワイト。第四作目ですって。

さて、またしても主人公は殺し屋。超一流。
引退を宣言したのに、最後の大仕事の誘いを断れません。
うーん。【最後の仕事】は、殺し屋、スパイ、大泥棒にとってのキーワードですよね。
今度、最後の大仕事ランキングをしましょうかね?
T・ホワイトらしい、男心の交流が光る、女好みのハードボイルド。と申せましょうか。

▼これも最後の仕事から。

「眠りなき狙撃者」
(ジャン・パトリック・マンシェット 中条省平訳/学研)

「ハメットとフローベールの婚姻」という訳者あとがきに嘘はなく、確かに文学の香りのする殺し屋モノです。
海外よりはむしろ日本で、無名の監督にサクッと映画化してほしい。
お金をかけない、地味で短めのフィルム・ノワール希望。

読ませます。一ページ目から何故か心を奪われ、一気読みできます。
殺し屋テリエの仕事の終了。今日もお決まりの仕事かと思いきや、彼は引退しようとしているらしいと、読者は知ります。
それはイカンですよ。イカンイカン!
殺し屋モノ、スパイもの大好きな読者ならみんなそう思うはずです。
彼らがすんなり引退できた試しはありませんからね。
彼はアパートを引き払い、女に別れを告げ、昔馴染みの土地へと向かい…。
派手さはないですが、奇妙なリーダビリティがあります。ほんとです。
ふと見始めて惹き込まれる地味な映画のようです。
ちゃんとしたものをじっとり読み耽りたい方におすすめ。

▼どうかな?

「ナッシュヴィルの殺し屋」
(ジェイムズ・パタースン 石田善彦訳/早川書房)

ちょい昔の作品で、舞台も古いし(ナッシュヴィルin1974)、地味かもしれませんが、
殺し屋のIQ166ですってー。しかも男前そうな感じです。
私、その辺りに可能性を感じてます(笑)。

黒人の37歳の市長が暗殺される。
犯人は、黒い髪、薄茶の眼、IQ166の頭脳の殺し屋トマス・ベリーマンなのか?

他に…
「真夜中の相棒」(T・ホワイト/文藝春秋)
「明朗健全始末人」(明智抄/白泉社)