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■時を越える事件つながり
むかーしの事件が後になって解決する、なんてのはたまりません。なんでかわかんないけどツボなんです。昔に関連した今の事件もありですね。今の事件に関係する昔の話とか。まー、大まかに時を越える事件とさせていただきました。 
→関連して・タイムトラベルつながり
→宝探しつながり

▼基本として。

「死ぬほど会いたい ハヤカワ文庫」
(B・M・ギル/早川書房)

主人公は偶然見つけた1世紀前の写真の女を愛してしまう。
ある日、彼の前に写真とそっくりの女が現れる。
じつは、心理スリラーなんだけども、こういう言われ方をすると
死ぬほど弱いわたし。

▼いわゆるバック・トゥー・ザ・フューチャー

「ドゥームズデイ・ブック」
(コニー・ウィリス/早川書房)

早川の夢の文学館シリーズは、粒揃いです。
全部読みたいもの。

このお話は、「歴史研究のために中世にタイムトラベルした
女子学生の運命を描いた問題作」と書かれた通りなんですが、
広告ページを見ても、夢の文学館の栞を見ても、
問題作と言われているのは、なぜなんでしょうか?
タイムトラベルした中世で彼女の書いた記録の章と
トラブルの起こった、現代たる21世紀の章を交互に配する構成。
読ませる、タイムトラベル超大作。ずっしり重いです。
→タイムトラベルつながり

▼宝探しも、時を越えてるもんね。

「まやかしの風景画」
(ピーター・ワトスン/早川書房)

なんと言ってもあらすじがね。イイ。
「知能と冒険とロマンスの旅を描く、胸おどる宝探し小説。」ですから。
宝のかくし場所が描かれているらしい謎の絵の持ち主イザベルと、画廊の主人の宝探しの旅。ちゃんとその変てこな絵が綴じ込みになって付いています。
→宝探しつながり
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→ミニ特集・備品のある本

▼そして真打。

「フランドルの呪画」
(アルトゥーロ・ペレス・レベルテ/集英社)

15世紀に描かれた絵をX線で撮影すると、
「誰が騎士を殺害したのか?」という文字が浮かび上がる。
調査をすると絵の中のチェス盤もワケありで、
さらに現代でも殺人事件がおこる。
もはや美しいとしか言いようがない、三段オチ。こうでなくっちゃ。 
→チェスつながり

▼うまいッ。

「不思議の国の悪意 創元推理文庫」
(ルーファス・キング 押田由起訳/東京創元社)

まずは題がうますぎですよね。
だって、
MALICE in WONDERLAND
ですよ。あったまイイねー。

短編集です。収録作は、
不思議の国の悪意、マイアミプレスの特ダネ
淵の死体、思い出のために、死にたいやつは死なせろ
承認せよ―─さもなくば、死ね
ロックピットの死体、黄泉の川の霊薬、の8編。
しかし、なんと言っても表題作でしょう。
なかなか見事な短編です。
ピシっとキマってて、ほぼ完璧なのではないでしょうか?
親友の少女が行方不明になって10年。
アリスは、ふとしたことから、事件の真相に近付き…。
こういう
時を越える事件、が好きなんですってば。
→アリスつながり
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▼クラシック。

「蛇行する川のほとり 全3巻(新書サイズ)」
(恩田陸/中央公論新社)

美しい少女2人。夏休みに2人に誘われる普通の少女「わたし」。
でも、美少女たちには何か秘密があるらしい…。

そうやって幕を開ける1巻目。
かなり古風な道具立てだと思いませんか。
まずまず定石通りに展開するので、この道具立てが好物な人は読んで損はないと思います。
これは古風でもあるし、恩田陸さんの十八番でもあります。
過去の事件。幼い頃のあやふやな記憶。
あれは…、何か覚えている気がするけど、あれってもしかして…、
でも思い出してはいけないような。
このヒヤリとするような淡い怖さと気味の悪さを書かせたら、ピカイチです。

巻が変わる毎に、語り手が変わります。こういうのもお得意ですよね。
もちろん謎解きもすっきりしています。

※先ごろ、1冊にまとまった単行本版が発行されました。
当店在庫は新書版3冊揃です。

他に…
「バビロン空中庭園の殺人」(小森健太朗/祥伝社)
「クィン氏の事件簿」(クリスティ)
『日曜の夜は出たくない』(倉知淳/東京創元社)