迷子になったらまずHOMEへ

■姉弟つながり
じつは自分が姉弟の姉なので、姉の気持ちになりやすいです。
関連して・親兄弟→双子つながり

▼やっぱり泣いてしまう。

「姉貴の尻尾」
(向田保雄/文化出版局)

あの事故の部分は、やはり涙なしには読めないのですが、
楽しい回想もたくさんあります。
向田邦子さんに限ったことではなく、姉の弟に対する態度って
そうだよなー、と身につまされるところもかなりありました。
何がって言われても困るんですが、
敢えて言うなら、こう、ちょっと高飛車で偉そうにしちゃうんだけど、
じつは頼りにしてるところもあって、基本的には気にかけて(やって)ると。
その姿を弟に書かれてるわけで、なんかムズムズしたりして。
(お前のことじゃないって? そりゃわかってますけどさ)
でも一番、ほほぅと思ったのは、向田邦子さんが書いた文章が
国語の入試問題
使われていて、登場する「弟」の気持ちが設問になってる、と。まさにその弟である保雄さんにしてみれば複雑な話で、どれが答えと言われても、全部合ってる気もするし、2つ合ってる気もする、って言うんです。
なるほどねー。やっぱりそう?ほーぉ。文学というもの、虚構の意味について考えてみたりしてね。
→関連項目・国語入試問題→テスト付きつながり

▼あ、あれ? ─困ったちゃんの随筆。

「鴎外の子供たち ちくま文庫」
(森類/筑摩書房)

鴎外の末っ子・類。茉莉の著書の中に出てくる類は、
うすぼんやりした姉を助ける普通の人なのですが、
これを読むとすべてがひっくり返り、そこには推理小説のどんでん返しのような
ある種清々しさがあります。

一読して森類という人の純真な魂は伝わってきます。
純真な人は周囲を困らせますよね。
純真な魂と恐るべき記憶力(これはお家芸なのかしら)と、
恐らくは純真さを根拠にした独断とで描かれる森家の内幕。
うーん、「森家外伝」ってカンジ?
本人は全然ピンと来てないみたいだけど、周囲の人は大変です。
子供が世間とか周囲の思惑を何も考えずに書いた作文なんだもん。
→つづきを読む→森家つながり

▼何度も言いますが、完璧です。

「3月革命(「甲子園の空に笑え」収録作・花とゆめコミックス)」
川原泉/白泉社)

少女マンガ。短篇。
仁礼家の姉弟はご近所でも天使のようだと評判で。弟は確かに天使、でも姉は…。猫をかぶりつづける姉の早紀子ちゃんが人前でヒステリーを耐えるために唱えたおまじないは、店主の心の名台詞ランキング入り。この漫画はすべての台詞が名台詞。マジで暗誦できそう。いや、できるね。世に隠れない古典的名作。
私はいつも冷静になるためのおまじないを唱えてるし、いつかは
『そして熱海に行くのよ、あたしたち』って言いたいのよ。
→完璧な短篇ランキング
→冷静になるためのおまじないって?→名台詞ランキング女性編その1

▼3キョウダイ(姉弟妹)

「最悪のはじまり 世にも不幸なできごと1」
(レモニー・スニケット/草思社)

ハリー・ポッター並のベストセラーシリーズだそうですが、ほんとですか? 著者自らがわざわざ宣言している通り、ハッピーのハの字も見当たらない不幸話です。
不幸の百貨店
両親を亡くしたボードレール家の幼い3兄弟たち。遺産はありますが、長女ヴァイオレットが成人するまでは、使えません。遺言で親戚に預けられることを決められているので、他にどんなに良い人がいても、イヤな親戚に預けられます。当然遺産は狙われて…。ハッピーエンドはナシ。しかもこれがまだ「最悪のはじまり」だと言うんですから、困ったものです。一人じゃなくて3兄弟なのが救いですか。
→不幸ランキング

▼番外 兄妹だけど。いやし系兄妹。

「草小路鷹麿の東方見聞録」(左)
「草小路弥生子の西遊記」(右)
(草薙渉/鷹麿=集英社、弥生子=廣済堂出版)

育ちがよいということは、もう後になって身に付けようと
思っても絶対に(100%)できることではなく、
それがある人は幸いなるかな。
小説すばる新人賞受賞作のユーモア・ノベルというので、
さして期待はしていなかったんですが(ほんっとに失礼!)、
ちょっと感動したのを覚えています。
いまどき珍しい、品の良い、ユーモア・ノベルなんですよね。
ブレンダン・フレイザー主演の、映画があったでしょ?
核シェルターの中で育った坊っちゃんが下界(?)におりて…って話。あれを思い出しました。
純粋培養の桁違いのお坊ちゃま・鷹麿さまとお嬢さま・弥生子さまが
下界におりて巻き込まれる事件。
ほほ笑みつつ読める、イヤシ系だと思います。
(独立した話なので、片方だけ読んで十分楽しめます)

▼バブリーな日曜

『青海豹の魔法の日曜日−角川文庫−』
大原まり子/角川書店)

「処女少女マンガ家の念力」の続編。
固有名詞が多数で、バブリーな時代を思い出すけど、
田中康夫とは違います。ほほ笑んで読める連作短篇集。
エピソードの数々がいかにも大原まり子。
姉の立場としては、山田波子さんの弟イジメエピソードが
気になります。こういうヤリ方もあったか!って。
扉絵・岡崎京子。
→曜日つながり

▼番外編2 兄妹だけど。 謎の男前ぶり。
『どこまで演れば気がすむの−潮文庫−』
(吉行和子/潮出版社)

他に…「おとうと」(幸田文)準備中